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解説(129) 解散考(1) 経済政策の批判ばかりで選挙に勝てるのか?


Ⅰ. 赤峰和の時事解説 第129回  

解散考(1) 経済政策の批判ばかりで選挙に勝てるのか?

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「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人」という言葉が、多くの衆議院議員の脳裏をよぎっているのではないでしょうか。衆議院議員にとって「解散」ほど怖いものはありません。「ただの人」にはなりたくないのです。一度でも、国会議員という肩書きをもらうとその「特権」は手放したくなくなるもののようです。

「解散風」が吹き荒れた途端、予想外の展開に民主党、維新の党、みんなの党の動きが慌しくなりました。政策の違いを論ずることなく政党の再編を協議したり、選挙区の調整などに夢中になっているようです。これもひとえに「議席を失う恐怖」によるものです。

今の時代は労働組合の票も当てにならないので、むしろ、有権者に国を思う気持ちや己の心情を切々と訴えた方が票は集まってくると思われます。


さて、今回の解散については、野党側は絶対に応じたくないのが本音です。一番声高に反対しているのは野党第一党の民主党です。現在55議席を確保していますが、半減してしまう恐れがあります。

民主党は「解散には大義がない」と主張していました。その後、「大義なき解散でも、堂々と受けて立つ」と強がりを言いながら、一方では「自己中解散。600億の税金の使われ方としておかしい(参議院議員の蓮舫氏)」と、お金の問題にすり替えています。本音は悲鳴を上げているのです。

このような状態ですから、野党にとって選挙の争点にするものは何もありません。一時的に減退している経済情勢の批判をするしか方策はないのです。

民主党幹事長の枝野幸男氏は「アベノミクスのカンフル剤と痛み止めに頼った施策では限界があることを自信を持って訴えることができる」と批判をはじめました。また、維新の党の国会議員団幹事長の小沢鋭仁氏も「景気悪化を裏付ける数字だ。衆院選は経済政策の論争になる。安倍晋三首相の失敗は明快だ」と批判しています。

さらに、これらの発言に一部マスコミは同調しています。東京新聞などは11月18日付けの社説【※1】で「GDPマイナス アベノミクスの失敗だ」とキャンペーンを始めました。
【※1】「消費活動を支えるのは本来、中間層である。だが、アベノミクスは格差を広げ、中間層を先細りさせる。GDPの過半を占める個人消費が伸びないのは当然の帰結である。


野党やマスコミのこうした論調は「木を見て森を見ず」のことわざの通り、物事の一部分や細部だけにこだわり全体を見失っています。

現在の厳しい経済状況は、本年(2014年)4月の消費税率の上乗せによる消費減退によるもので、一時的な退潮現象にすぎません。野党も一部マスコミもこの一局面だけにとらわれすぎています。

この状況に対して、政府と日銀は手を打っていました。10月31日に「追加金融緩和サプライズ」を行い、すぐに市場は反応し、日経平均が16,000円を突破(11月18日17,344円)し、2007年12月以来、実に7年ぶりの水準に戻りました。

2007年は自民党福田政権の時代です。

これ以降の民主党政権下では、株価の低迷、円高の異常進行で、国民経済はデフレ下での実に苦しい生活を余儀なくされていました。まだ、記憶に新しいところだと思います。あの時代より、安倍政権が再発足してからどれだけ国民の経済状況が改善されたかを、はっきりと認識しておかなければなりません。


さて、経済政策は、手を打ったところでマーケットは即座に反応するのですが、国民生活までに反映するのにはタイムラグがあります。10月31日の日銀金融緩和が生活面にいい影響が与えられるのは半年ぐらいの時間がかかるものです。

しかし、安倍政権の足を引っ張りたいだけの人にかかると、「今回の金融緩和は、アベノミクスがうまくいっていない、3本の矢のうちの成長戦略の矢が効果をあげていない証拠だ」と批判します。経済対策をして対処していることも批判してしまうのです。これでは、まるで、何もしないでおくほうがいいということになります。


こうした、全体の流れを理解しないで、局面、局面を批判する手法というのは、政治家、評論家、マスコミもやめた方がいいのではないでしょうか。批判することは簡単なのです。批判することよりも対策を立てる、対案を出すことの方が重要であることは明らかです。

もし、経済対策を総選挙の争点にしたいのなら、批判よりも「こうすることによって国民生活はより豊かになる」という対案を発表してはいかがかと考えます。民主党は根本的な経済対策案をぶつけること。これを提起できなければ、野党としての存在価値はなくなります。

つづく



当ブログは、Ⅰ.赤峰和の時事解説、Ⅱ.時事放談(鼎談)、 Ⅲ.日本政治精神史、Ⅳ.国際政治解説、Ⅴ.提言、Ⅵ.平成ネット塾、の六つで構成されています。時宜に応じて、テーマごとに分類して解説を加えてまいります。

なお、当方へのお問い合わせは akaminekazu2014@gmail.com まで、お願いします。

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