?. 赤峰和の時事解説 第106回
「香港の抗議行動」報道から見える朝日新聞の本音!!

「雨傘革命」と呼ばれる大規模な抗議行動が香港で続いています。「傘で警官隊の催涙ガスを防いだことに由来する」といわれています。この抗議行動は、3年後の2017年、香港特別行政区トップである行政長官の改選問題に端を発しているものです。
行政長官選挙は、一般有権者による直接選挙(普通選挙)を導入することになっているのですが、候補者の選定上の問題があり、民主派候補は事実上排除【※1】されることになります。
【※1】民主派候補の排除:これまでの行政長官選出は「選挙委員会」のメンバー1200人による間接選挙だった。2017年からは一人一票の直接選挙とするものの、中国と香港当局は、各界代表1200人による指名委員会で候補者を2〜3人に絞り、事実上、中国寄りの人物しか立候補できないように決めた。
香港は1997年に英国から中国に返還され、50年間にわたる「自治」が約束されました。一国二制度のもとに香港だけは、外交と国防を除いて、言論の自由、司法の独立が認められています。
現在の行政長官は梁振英氏で、2012年2月25日の間接選挙で当選しています。「香港生まれの技師で、中国と深いつながりを持っている」と評されている人物です。
なお、この民主派排除の方向性については、アメリカも早くから懸念を表明していたようです。これには中国側も「香港問題に干渉しないよう米国に警告=新華社」と不快感を表した記事を掲載していることから判断できます。この背景は、今年(2014年)4月にバイデン副大統領が、ホワイトハウスで香港民主派長老の李柱銘(マーティン・リー)元民主党主席らと会談したことにあるようです。
また、今回の民主化要求行動に連なる事件としては、7月に事件が起きています。
座り込み511人逮捕 香港、普通選挙求めるデモ後に 朝日新聞 小山謙太郎2014年7月2日
民主派団体による大規模デモがあった香港で2日、警察当局がデモ終了後に無許可で路上に座り込んでいた参加者約千人を強制排除し、511人を逮捕した。香港でデモに関連して多数が逮捕されたのは、近年では異例だ。デモは香港の中国返還から17年を迎えた1日に行われ、主催者発表で51万人、香港大学調べで17万人が参加した。市民の間で、自治権の制限を公言した中国政府への反発が高まっており、過去10年で最大規模となった。【以下略】
「香港長官選に民主派の人間は立候補できない」という方針が正式に決定したのは8月31日の全国人民代表大会(全人代)常務委員会です。
この日から、香港の民主派リーダーらは強い反発の声を上げて、行政長官官邸前の公園で3000人規模のデモを行い、持ち寄った鍋などをたたいて抗議の意志を示したといいます。
そして、9月に入ってからは激しい抗議活動がはじまり、2日にはデモ隊の19人逮捕、14日には黒い布を掲げたデモが行われました。22日には授業ボイコットが始まり、香港中文大学で決起集会が開かれ、約13000人が集まったといわれています。
さらに、26日には、学生の一部が香港中心部の政府庁舎敷地内に突入し、警察と衝突した模様で13人が逮捕されたといわれています。また、29日には、学生らが、金融街・中環(セントラル)も占拠し、幹線道路が寸断されたとして89人が逮捕されたようです。
10月1日には、オバマ米大統領が訪米中の王毅(ワンイー)中国外相に「香港市民の志を支持する」と述べ、これに対して王氏は「中国への内政干渉だ」と強く反発したと伝えられています。
現在の状況は予断を許さない状況で、3日の時点では、読売新聞はこのように報じています。
香港政府、強硬から一転…APEC控え収拾図る 2014年10月03日 09時52分
【途中から】香港で続く抗議行動の中心は、2日から香港政府庁舎裏手の行政長官事務所前になった。同日夜から鉄柵を挟んで警官隊と対峙たいじする学生らの人数は徐々に膨れあがり、学生組織が梁振英・行政長官の辞任を求めた香港政府の回答期限が迫るにつれて緊張感が高まった。「梁振英は辞めろ」――。大勢の声が周囲に響いた。学生が「マスクやゴーグル、タオルなどを用意するように」と呼び掛けるプラカードを掲げ、警察側が催涙弾を再び使用するなどの強制措置を警戒。一部の学生は興奮し、警官隊に詰め寄り、一触即発の場面もあった。【以下略】
この問題に関し、産経新聞の主張は「香港の長官選挙 民主化の後退は許されぬ(2014.9.3)」と述べていますし、朝日新聞も10月3日の社説で「香港デモ―長官選のあり方再考を」と民主化支持のような発表をしています。
なお、朝日新聞の記事は建前で、本音は、中国共産党機関紙人民日報を思わせる中国の立場を弁明する記事を掲載しています。(見出しだけ掲載)
穏健VS.抗戦、民主派分裂の兆し 香港占拠1週間、市民から反発の声 2014年10月5日
香港占拠、対話探るがなお曲折も 民主派、足並みに乱れ 香港=延与光貞、小山謙太郎、北京=林望2014年10月6日
二日連続で、なりふり構わず、中国追随路線で記事を書きはじめました。中国内部での分裂騒ぎや、そして、天安門事件【※2】のように国際的批判の的にならないように、中国政府への側面支援を始めたと考えていいでしょう。
【※2】天安門事件:1989年6月4日、中国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していた学生を中心とした一般市民のデモ隊に対し、中国人民解放軍が市民に向けての無差別発砲や装甲車で轢き殺した。数万人に及ぶ死傷者を出したといわれる。約300名の活動家がパリに亡命した。この事件で中国は国際社会から完全に孤立化した。
中国当局が抱える問題については、産経新聞も主張の中で明確に分析しています。
「中国がこうまでして香港トップ選びを操ろうとするのは、普通選挙では香港が独り歩きし、そのうねりが大陸にも押し寄せかねないと恐れているからだろう」
中国当局にとっては香港の騒動が国家分裂への引き金になることだけはなんとしても阻止する構えだと思います。中国当局は、話し合いより力による押さえつけを行うものと思われます。その場合は多くの犠牲者が出ることが予想されます。
もし、天安門事件の繰り返しになれば、中国は完全に国際社会から孤立します。
また、今回の香港での出来事は、日本人にとって他人事ではありません。仮に中国によって日本が支配された場合の近未来図だからです。
さて、ここで、朝日新聞の内情に精通する方からのご意見を伺います。
・朝日新聞は、市民の人権を無視し、力で押さえつける中国のやり方を批判するどころか、「民主派デモ側で内部分裂が生じている」「市民がデモを嫌がっている」など根拠のないでっち上げ記事を書いています。
・ジャーナリストの本来の使命の一つに、「人々の自由や人権を奪うような体制に対し、言論で正していくこと」であるはずなのですが、朝日新聞はその基本姿勢さえ、放棄しているようです。
・記事の内容や文言は多少カモフラージュされているももの、中国共産党寄りの記事であることには変わりありません。
・朝日新聞社は慰安婦ねつ造記事の謝罪会見後、その報道姿勢を改めるどころか、朝日の本当の目的である、「中国による日本属国化」の流れに特化し始めています。
・中国政府は自分たちの支配権限を守るために、人権を無視し、人間の尊厳を傷つける政策を平気で実行します。
・これは、世界が向かおうとしている流れに逆行している、極めて原始的で野蛮な政府と言えます。
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