Ⅰ. 赤峰和の時事解説 第113回
良心的ジャーナリズムに偽装する朝日新聞

2014年10月15日付けの朝日新聞朝刊の一面には、「『信頼回復と再生のための委員会【※1】』発足 社外委員に4氏をお招きします 朝日新聞社」という記事が掲載されています。(37面にメンバー紹介)
社会面には「(信頼される新聞をめざして)読者と対話、東京でも 一連の問題に指摘【※2】」という記事。25面には、「読者に向き合い、考える 第一線の記者――鳥越俊太郎さんと討論 新聞週間特集【※3】」との特集記事が掲載されています。
また、10月9日には「朝日新聞慰安婦報道、第三者委が初会合【※4】」が開催されていますし、さらに、(東京電力福島第1原発をめぐる)「吉田調書」報道については、以前から設置している第三者機関「報道と人権委員会【※5】」で検証していると言っています。
【※1】:朝日新聞社は、慰安婦報道、福島第一原発事故に関わる「吉田調書」報道、池上彰氏連載の掲載見合わせなど一連の問題を受け、「信頼回復と再生のための委員会」を発足させました。18日に初会合を開きます。朝日新聞がもう一度信頼される新聞へと生まれ変わることを目指し、取り組むべき課題とその方向性を年内にまとめる予定です。委員会は、当社上席執行役員の飯田真也が委員長を務め、社内からほかに3人の取締役が委員に就きます。
さらに4人の社外委員をお招きし、内向きの議論に陥らないよう外部の厳しい指摘を頂きつつ、委員会全体で再生策を探ります。社外委員は、冤罪(えんざい)など社会の問題を幅広く発信するジャーナリストの江川紹子氏(56)、企業の危機管理を専門とする弁護士の国広正氏(58)、部門の垣根を取り除いたチームの導入などで経営再建を果たした日産自動車副会長の志賀俊之氏(61)、テレビコメンテーターも務める社会学者の古市憲寿氏(29)です。
【※2】:「信頼回復と再生のための委員会」は、朝日新聞の再生プランづくりに生かすため、これまでに読者モニターを務めたみなさんとの対話集会を開きました。朝日新聞東京本社で13日に開かれた集会には、関東在住の6人の方に参加して頂きました。まず、当社取締役で前編集担当の杉浦信之が「池上彰さんのコラム掲載を見合わせたことが、一連の問題の中で最大の責任があると感じています。大変な失態でした」とおわびしました。【以下略】
【※3】:慰安婦報道を検証した特集、池上彰さんのコラム掲載見合わせ、「吉田調書」を巡る報道――。朝日新聞は記事の一部を取り消し、池上さん、関係者、読者のみなさまにおわびしました。何が問題だったのか。どうすれば信頼を回復できるのか。記者たちも考え、悩んでいます。ジャーナリストの大先輩、鳥越俊太郎さんを迎えて、朝日新聞の現状とこれからを討論しました。
鳥越 朝日新聞は戦前の反省の上に立って、戦後民主主義を日本に根付かせるために先頭を走ってきたメディアだと、僕は評価してきた。それがここ10年ほど、以前はビシッと土性骨が入っていた朝日がグラグラしてきたと感じていた。今回の慰安婦報道や池上さんのコラム、週刊誌の広告掲載を巡る対応も、一本筋が通った意思決定がされたようには見えなかった。【以下略】
【※4】:朝日新聞社の慰安婦報道について検証する第三者委員会慰安婦報道について検証する第三者委員会の初会合が9日、東京都内で開かれた。弁護士や研究者、ジャーナリストら6委員が出席し、検証の進め方や方法などについて意見が出された。委員会は、木村伊量(ただかず)社長から委嘱を受けて調査、検証する。委員長は元名古屋高裁長官で弁護士の中込秀樹氏。委員は計7人。9日はノンフィクション作家の保阪正康氏が欠席した。
中込委員長は冒頭のあいさつで、今後の調査検証の内容を説明。故吉田清治氏の証言など慰安婦に関する過去の記事の作成や、今回の記事取り消しに至る経緯▽今年8月の特集紙面の評価▽池上彰氏のコラム掲載見送り問題の経緯や対応▽日韓関係をはじめとする国際社会に対する慰安婦報道の影響――などを調べるとした。【以下略】
【※5】:報道と人権委員会:朝日新聞社や朝日新聞出版が発行する新聞、雑誌などの取材・報道で名誉を傷つけられたり、プライバシーを侵害されたりしたという訴えに対応するため、社外の識者が委員を務める常設の第三者機関として「報道と人権委員会(PRC)」を設けています。2001年1月に発足しました。
2012年3月現在の委員は、宮川光治・元最高裁判事、長谷部恭男・東大教授、藤田博司・元共同通信論説副委員長の3人です。扱う案件は1年に3~4件で、審理結果は「見解」としてまとめ、必要な場合には朝日新聞社に是正措置等を求めます。「見解」は、訴えた人の了解を得て紙面や朝日新聞デジタルで公表しています。【以下略】
こうしてみると、三つの検証組織と読者やジャーナリストとの対話を手段にして、朝日新聞は「生まれ変わります」とアピールをしているように見えます。
三つの検証組織のうち、まともに機能しそうなのが「慰安婦報道について検証する第三者委員会」です。その他の二つは朝日寄りのメンバーなので公正な検証結果は期待できそうにありません。
これらの中で「慰安婦報道について検証する第三者委員会」のメンバーを見た限りでは、期待ができる方々だと思えます。反日の、それも「従軍慰安婦問題」に執心している林博史氏らのいつもの顔ぶれが申しいれを行うほどですから、ここは朝日新聞人選を間違えたのかもしれません。もしくは、慰安婦問題に関する専門家は反日の人たちの中にいなかったからこういうメンバー選びになったのかもしれません。
最近の朝日新聞は、産経新聞の前支局長の件でも韓国批判をしたり、『国際テロリスト財産凍結法案』についても中立の立場で記事を書いています。以前の朝日新聞なら、産経新聞問題は韓国擁護に回りますし、韓国の論調をそのまま使った記事を書くはずです。また、マネーロンダリングに関してであれば「共謀罪」を持ち出し、反対の論陣を張っていたはずです。
慰安婦問題の次には「南京事件」が控えているので、嵐の過ぎ去るのをじっと待っているのかもしれません。
しかし、朝日新聞は、多くの間違った報道を検証し、反省しなければならないことが山積みです。それを放置したままでは済まされません。「解体して出直す」ほどの反省をしない限り、朝日問題は終りません。それほどの覚悟がなければ国民の誰もが納得しないということを認識しなければならないと思います。
それでは、最後に、朝日新聞の内情に詳しい情報筋のご意見をお伺いします。
・朝日新聞社は、記者会見の席での記者の質問に、堂々と答えることをせず、第三者委員会を設置して、そこで見解を出してもらうという方法をとりました。
・これは窃盗犯が現行犯逮捕されているのに、「弁護士と相談するから」と言ってその場で口を開かない姿と同じです。
・朝日自身の「間違った報道問題」を、第三者に評価してもらうという姿勢そのものに、責任を逃れようとする卑劣さが見えます。
・第三者委員会というフィルターを通すことで、朝日の悪質さが緩和され、正当化されると思っています。
・しかも同種のものを複数設置することで、問題の本質を薄めていきたいと考えています。
・朝日新聞社は、世界中にまき散らした毒を、一つ一つ丁寧に拾い集め、訂正しお詫びをして歩くことしか道は残されていません。
・第三者委員会などの設置の前に、今すぐに誠意を持って謝罪活動に取り組んでいただきたいと思います。
当ブログは、Ⅰ.赤峰和の時事解説、Ⅱ.時事放談(鼎談)、 Ⅲ.日本政治精神史、Ⅳ.国際政治解説、Ⅴ.提言、Ⅵ.平成ネット塾、の六つで構成されています。時宜に応じて、テーマごとに分類して解説を加えてまいります。
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