Ⅰ. 赤峰和の時事解説 第117回
「強制連行はなかったことを確認するための国会決議」(次世代の党提出)

このようなニュースがありました。
「強制連行無かった」 確認の国会決議案提出に意欲 次世代の党 産経 2014.10.23
次世代の党の山田宏幹事長は23日、慰安婦問題に関する河野洋平元官房長官談話が強制連行を認めたものではないことや、強制連行はなかったことを確認するための国会決議案をこの臨時国会に提出する考えを示した。国会内で記者団に答えた。山田氏は「自民党内にも同じような声がある。原案を作って、賛同を求めていく」と話した。
河野氏は平成5年の談話発表の記者会見で強制連行を認めた。河野談話を検証した有識者チームが今年6月にまとめた報告書は、河野氏が政府の共通認識を踏み外して強制連行を認めたことが確認された。
産経新聞の「【単刀直言】「河野談話、自身で取り消すべきだ」次世代の党・山田宏幹事長 2014.10.20 」 の記事でも、同党幹事長の山田氏はまっとうな意見を述べています。最近の民主党を筆頭とする野党の政権批判にはうんざりしていましたので、大変清々しい気持ちになりました。
このインタビューは慰安婦問題についてのものですが、維新の会について、山田氏はこう述べています。
今国会では民主党と一緒になって閣僚のスキャンダル探しをしていますが、国民は「またか」とうんざりでしょう。そういう行動は旧日本維新の会の結党の「志」とは異なるのではないでしょうか。このままだと維新の党は「民主党亜流」と言われかねません。
次世代の党が国民の目線に立って考えているのがよくわかります。
さて、次世代の党が提案する「強制連行はなかったことを確認するための国会決議案」の提出は興味深いものがあります。
まず、国会決議の効果については基本的には法的に規制するものではありません。しかし、その政治的効果は、内外に対する日本政府としての公式見解となり、歴史的認識の根拠となるものです。たとえば、問題とされている「河野談話」のように、一種の政府見解として国際的にも国内的にも「考え方の根拠」となるものといえます。
ただし、「河野談話」は官房長官の話のレベルですが、国会決議は、日本国としての公式見解ということになりますから、河野談話の重みとは比較にならないものとなります。
注目すべきは、この国会決議案に対して、政党や国会議員がどういう立場を取るのかと言う点です。
重要法案に際しては「党議拘束」といって、党の方針には絶対従わなければならない場合と、国会議員の個々人の判断に任せるという場合もあります。殆どが前者の党議拘束がかかるものですが、例外的に、2009年の臓器移植法案【※1】のように自由投票になることもあります。
【※1】臓器移植法案:衆議院ではA案、B案、C案、D案と4つの案が審議されA案が可決。参議院ではこれに加えてE案やA案を修正したA’案が提出された。【結果はA案で施行されています。】
自民党の一部に河野洋平氏の国会喚問に対し拒否したと同様の動きが出てくる可能性があります。しかし、この問題は、朝日新聞の捏造報道取り消し以降、「慰安婦の強制性はなかった」という正しい認識が世論にあるので抵抗はしづらいはずです。
最も重要なポイントは、この決議案が上程された場合、自民党国会議員の一人ひとりが、国益派なのか、親韓派なのかはっきりと見分けがつくからです。これまで態度を表明しなかった議員でも意思表示せざるを得ません。
特に日韓議員連盟【※2】の会長でもある額賀氏と額賀派【※3】の面々の動向はひときわ注目されます。
【※2】日韓議員連盟は10月24日から韓国を訪問します。パククネ大統領とも会い、日韓関係の改善を図るとしています。
【※3】全員が親中・親韓派であるわけではありません。ヒゲの隊長で有名な佐藤正久氏もメンバーです。佐藤氏は村山談話および河野談話について、いずれも見直すべきとしています。比較的に他派閥より親中・親韓派が多いわけです。
このように「強制連行はなかったことを確認するための国会決議」が上程されますと、国益を考えている人とそうでない人の選別がつくことになり、次の選挙のときに大変役立つということになります。そのためにも、次世代の党が提出する「強制連行はなかったことを確認するための国会決議」の採択がなされることを期待したいと思います。
次世代の党幹事長山田宏氏の「河野談話、自身で取り消すべきだ」の結論部分が、今後の、政治家としてのあるべき姿を提示していますので引用します。
政権を取るためとなると、かつての民主党政権と一緒になります。政権を取ったとたんにバラバラになるに決まっている。「政権を取った後は何とかなる」がかつての民主党政権でしたが、それを二度と繰り返してはならない。
一方、国家観や歴史観で一定の合意が得られる人たちはなるべく一つになる必要がある。安倍政権の方針に対して公明党や自民党のリベラル勢力が反対する動きは、1、2年の間に出てくると思います。それが憲法改正になれば協力は惜しみません。協力をすることが世の中を変えていくことにつながるのならば、協力します。
当然、次期衆院選は、安倍首相は憲法改正を前面に立てた選挙にしていくべきだと思います。安倍首相にとってもわれわれにとっても、憲法改正が一番のテーマです。それが打ち出されることによって、選挙前後に与野党再編の流れをつくることもできるのではないでしょうか。そういう方向に手を打てるように安倍首相はこれから選挙までの政権運営をしてほしい。日本のために。
では、最後に政界のご意見番からのご意見をいただきます。
・次世代の党は一貫してその思想性にぶれがありません。
・強い言葉や行動が物議を醸すことがあるようですが、常に筋は通っています。
・次世代の党に「グレーゾーン」という概念や言葉は無いようです。
・国家を愛する、国家を守るという中心概念があるので、「右か左か」「白か黒か」という明確さがあります。
・これは非常に単純に見えますが、ほかの党のような不透明さや、何が言いたいのか不明ということが無く、国民には分かりやすく映っています。
・次世代の党は真正面から憲法改正に取り組むつもりなので、次回の選挙では相当数の票を獲得できると思われます。
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