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解説(124) みんなの党への意見書について


Ⅰ. 赤峰和の時事解説 第124回  

みんなの党への意見書について

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基本政策として「小さな政府」の構築を目指していたみんなの党が、どうしたわけか「大きい政党」になろうとしたのがこの一連の大騒動の原因だったのではないでしょうか。「小さな政府」をめざすなら、たとえ、なりは小さくとも、存在感を発揮して、台風の目となって、政治を大きく動かす原動力になりえたのではないかと思うのです。

みんなの党は、実質的には、渡辺喜美氏のワンマン・オーナーの政党です。形の上では、江田憲司氏らとともに「国民運動体 日本の夜明け」を母体に発足したものです。党の資金は渡辺氏に負うところが大きく、後に問題となった渡辺氏の巨額資金の借入れ問題【※1】がそれを物語っています。
【※1】2014年3月、渡辺代表が化粧品会社会長から、2010年の参院選直前に3億円、2012年の総選挙直前に5億円を借り入れていたことが発覚した。この借り入れについては政治資金収支報告書に記載されておらず、公職選挙法や政治資金規正法に違反しているのではないかとの疑惑が浮上した。


選挙直前の資金借り入れは、だれの目にも「選挙資金調達」ということは理解できます。2010年の参議院選挙、2012年の衆議院選挙でみんなの党は、渡辺氏の資金丸抱えで行われたということに他なりません。このときの当選者は、渡辺氏に足を向け寝られないはずですが、それでも、離党した人もいます。渡辺氏には忸怩たる思いがあるかもしれません。

さて、みんなの党は2009年8月に結党しました、当初から「みんなの党は政界再編の触媒政党」「政界再編を究極の目標」を掲げています。
2013年の参議院選挙後には衆参合わせて計36名の国会議員を擁する勢力となりましたが、この時点で、党代表である渡辺氏と幹事長である江田氏の対立がはじまりました。もともと考え方が違う二人【※2】が「野合」した結果から生じるものでしたから、これはいたし方なかったでしょう。
【※2】渡辺氏は元自民党所属の保守、江田氏は非自民の親中派。


江田氏はこの時点で維新の会の松野氏との連携を模索し、11月には、衆参あわせて15名とともに結いの党を立ち上げました。その後、2014年9月に合流し、現在は、維新の党の共同代表に納まっています。

江田氏がいなくなったので、みんなの党も、保守の新しい受け皿として輝きを放ち出すかのように思えました。とくに、2014年2月の党大会で、渡辺代表は、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認など安倍政権の経済・安全保障政策に協力する姿勢を示したからです。みんなの党への期待感もあがりました。

ところが3月になって、上記の巨額資金借入れ問題が出たため、渡辺氏は代表を辞任せざるを得ませんでした。浅尾氏が代わって代表になりましたが、渡辺氏が党に復帰した途端、路線対立が起きたのです。現在、党の再分裂は回避したものの、野党再編を主張する浅尾氏側とそれを非現実的とする渡辺氏側の対立はくすぶったままです。また、この間にも、離党がつづき、現在は衆参あわせて20名【※3】の国会議員が所属する小さな党になってしまいました。

【※3】衆議院勢力:自由民主党295、民主党56、維新の党42、公明党31、次世代の党19、に次ぐ第六勢力で8名。参議院勢力:自民党115、民主党59、公明党20、に次ぐ第四党で12名。


ワンマン・オーナーの渡辺氏の意向も通らなくなりました。主要幹部の思惑がそれぞれ別方向に向かっているからでしょう。渡辺氏のように自民党と連携したい人、浅尾氏のように野党勢力として存在したい人、あるいは、次世代の党や、維新の党に移りたいという具合に、思惑がバラバラになっています。この状態では他の政党の草刈場になることが予想されます。

もし、ここで、みんなの党の国会議員が、党の再生を願い、存在意義を世に問いたいのならば、かつてみんなの党の党名を決める際に、渡辺氏が提案した「絆」にして、一からやり直したほうがよさそうです。

しかも、大きな政党になろうとするのではなく、台風の目的存在となって、小さくても周りの大きな影響を及ぼす存在になったほうがいいのではないでしょうか。また、独自の政策を発表することによって存在感を示し続ける。そうすることで、党内への他党からの秋波に影響されることなく、ブレずに政策の実行ができるのではないでしょうか。この選択が、みんなの党の存続を大きく左右すると考えます。


それでは、ここで、政界のご意見番のお話を伺います。


・渡辺氏は面倒見の良い親分肌の人物ですが、ワンマンゆえに一度人間関係が崩れると決定的になりやすいのです。

・現代表の浅尾氏は渡辺氏とは対照的で、やや線が細く、方向性を決め全体をまとめて引っ張る力は不足しているようです。


・渡辺氏の借入金問題は離党した江田氏がかかわっていたようです。

・「結いの党」は江田氏の考えに賛同してついていったというよりも、江田氏が「みんなの党」の若手議員を渡辺氏から盗み取ったという表現が適切かもしれません。


・渡辺氏の主張はいまの政治の形を大きく変革する意味で、多くの国民が受け入れやすいものです。

・江田氏はその理念よりも政権取りに走り、実際には国民の立場に立っている政治家とは言えません。


・渡辺氏は年内いっぱいは静かにしているようですが、来年からは本格的な復活を考えているようです。

・渡辺氏の今後の活躍を期待したいと思います。



当ブログは、Ⅰ.赤峰和の時事解説、Ⅱ.時事放談(鼎談)、 Ⅲ.日本政治精神史、Ⅳ.国際政治解説、Ⅴ.提言、Ⅵ.平成ネット塾、の六つで構成されています。時宜に応じて、テーマごとに分類して解説を加えてまいります。

なお、当方へのお問い合わせは akaminekazu2014@gmail.com まで、お願いします。

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