Ⅰ. 赤峰和の時事解説 第110回
加害者の朝日新聞元記者植村氏が、被害者に???

まずは、朝日新聞記事からご覧ください。
慰安婦報道めぐり脅迫文 2大学に元朝日記者の退職要求 2014年10月1日
北星学園大(札幌市厚別区)に今年5月と7月、慰安婦問題に関する記事を書いた非常勤講師の元朝日新聞記者(56)の退職を求め、応じなければ学生に危害を加えると脅す文書が届いていたことが捜査関係者への取材で分かった。大学側から相談を受けて、北海道警札幌厚別署が威力業務妨害の疑いで調べている。【中略】元記者は91年8月、元慰安婦の証言を韓国紙などに先駆けて報じていた。
また、帝塚山学院大(大阪府大阪狭山市)にも9月13日、慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者の人間科学部教授(67)の退職を要求する脅迫文が届いていたことがわかった。大学は被害届を提出、府警が威力業務妨害容疑で調べている。元記者は同日付で退職した。【以下略】
前者が、1991年8月11日付朝日新聞に「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた・・・」と書いた植村隆氏
。
後者が、吉田清治証言を真っ先に取り上げて朝日新聞慰安婦捏造問題の口火を切った清田治史氏。
(「清田治史氏が大学を解雇に?――慰安婦問題の口火を切った人」ご参照 )
朝日新聞の記事を見る限り、正義の報道をした記者が「迫害」を受けているかのようなお話になっています。しかし、これは論理のすり替えというものではないでしょうか。
せめても、捏造した記事を詫びた上で、このような行為は許せないと言うのであれば、少しは世間も納得するかもしれませんが、本人からの訂正謝罪がないまま、被害者を装うというのは承服できるものではありません。
しかも、植村隆氏は、記者会見までして、自分の正当性を訴えようとしました。「植村氏を支援する組織」がこんな呼びかけをしていました。
「負けるな北星!の会」記者会見のお知らせ:北海道・札幌市の私立北星学園大学に「非常勤講師の植村隆をやめさせなければ爆破する。学生を痛い目に遭わせる」という脅迫状が届いています。大量の嫌がらせ電話やメール、街頭宣伝も続いています。
植村さんは、元朝日新聞記者で1991年、韓国の元日本軍慰安婦がつらい体験を告白した記事を書きました。一部の人たちは慰安婦問題の「火付け役」と批判しています。しかし、爆破予告は脅迫です。業務妨害です。植村さんの高校生の長女は氏名、写真をネットでさらされ「自殺に追い込む」と脅されています。長男の高校の同窓生は、人違いでネットに写真と実名を載せられ「売国奴のガキ」「自殺しろ」と書かれました。ひどい人権侵害です。【中略】日本の民主主義は正念場を迎えています。北星学園大学を孤立させてはいけません。大学を攻撃する卑劣な人たちにみんなで、告げましょう。
10月6日(月)午後2時から記者会見、東京と札幌で同時に記者会見が行われました。東京の記者会見で動画が公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Cf6XFCGSqRo ※東京会場、札幌会場ともに、植村氏本人は出てきていません。
<東京での記者会見>
記者会見は、法政大学教授の山口二郎氏が中心になって、7人が意見を述べていました。
冒頭、山口氏はこの会見の趣旨を説明していますが、植村氏の「記者会見へのメッセージ」を引用しているように思いましたので、それを一部掲載します。
私は元朝日新聞記者で、札幌市に住む植村隆と申します。この3月まで、朝日に在職し、55歳で早期退職しました。現在は北星学園大学(札幌)の非常勤講師として、週1回金曜日に留学生対象の「国際交流講義」を担当しています。
北星の非常勤講師は今年で3年目ですが、この5月から大学に「売国奴・植村を辞めさせろ」などと私の解雇を求める電話やメールが相次いでいます。「辞めさせないと学生を痛めつける」と書いた脅迫状も送られて来ました。大学付近での街宣行動もありました。
私をとりまくこの異常な事態は1月末から続いています。私は函館支局長をしていた昨年12月、神戸松蔭女子学院大学の選任教員公募(メディア分野担当)で採用されました。しかし、1月末発売の週刊文春が「『慰安捏造』朝日新聞記者がお嬢さま女子大教授に」という記事を掲載しました。私が1991年に書いた元朝鮮人従軍慰安婦の記事について「捏造」などと誹謗中傷したものです。
これがきっかけで、ネット右翼たちが「捏造記者をやめさせろ」などとするメールを松蔭に大量に送り付け、抗議の電話をかけてきました。こうした威嚇に大学がおびえ、私は大学幹部たちから「大学に来ないでほしい」旨の説得を受けました。大学幹部たちは「捏造などしていない」という私の説明を一切聞きませんでした。私は、こうした大学幹部たちの対応に非常に失望しました。しかし、大学もまた被害者であると考え、教授就任を辞退しました。 【中略】
こうした中で、大学や私を支援してくださる方々が、北星学園大学を応援する団体を結成すべく準備を進めています。団体の名称は「負けるな北星!の会」(略称マケルナ会)と言います。北星問題を全国に発信し、大学を応援し、植村の講師継続を実現するさまざまな活動を推進しようと考えています。北星がネット暴力に負けてしまったら、ネット暴力がますますこの社会に広がることになります。それは民主主義の崩壊にもつながります。ぜひ、北星でネット暴力をくい止めたいと思っています。
現在、同会の呼びかけ人の依頼作業を進めており、元共同通信編集主幹の原寿雄さん、元東京大学新聞研究所教授の桂敬一さん、法政大学教授の山口二郎さん、東大教授の小森陽一さん、北大准教授の中島岳志さん、北星学園大学教授の小野有五さんらの内諾を得ております。【以下略】
呼びかけ人:桂敬一(日本新聞労働組合連合【日本新聞労連】幹部・マスコミ九条の会呼びかけ人)、原寿雄(マスコミ九条の会呼びかけ人)、小森陽一(全国「九条の会」事務局長・「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」呼びかけ人 )、中島岳志(朝日新聞書評委員・朝日新聞紙面審議委員・毎日新聞書評委員)、小野有五(21世紀北海道のエネルギー政策を考える市民の会9、山口二郎(村山内閣ブレーン・民主党ブレーン・立憲デモクラシーの会共同代表)
記者会見での7人の人の発言のポイントを記載します。(発言順、敬称略)
海渡雄一(弁護士 福島瑞穂氏の夫):言論を暴力で封じ込めることはテロリズムである
小林節(慶応大学名誉教授):刑事事件として刑事告訴すべきである
田中宏(一橋大学名誉教授):二つの大学で朝日出身者が教授を追われた。この流れを阻止しなければならない
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授):脅迫を受けた経験がある。平和宣言をした北星学園を守るべき
桂敬一(東京大学大学院教授):挺身隊と慰安婦を混同したことを問題にされているが韓国では昔から混同されている。吉田清治証言がもてはやされたのは自分たちの戦争犯罪を反省するためである。朝日の第三者委員会はこういう問題をいうべきで植村に責任を押し付けるのはおかしい。読売は朝日たたきを反省しなければならない
小森陽一(東京大学教授);人権侵害、表現の自由、学問の自由を侵す卑劣な攻撃である。二つの大学は屈したがこれを北星学園で許してはならない
山口二郎(法政大学教授):この会は言論へのテロリズムとの戦いであり、植村を守る。大学に対して「気に食わない人間を辞めさせろ」という風潮がるが、外部から中身について干渉することは問題
また、これについては、朝日新聞も「学者や弁護士ら、脅迫状届いた大学を支援する会」と報じています。
呼びかけ人には元共同通信編集主幹の原寿雄さんや精神科医の香山リカさん、北海道大大学院准教授の中島岳志さんらが名を連ねる。野中広務・元自民党幹事長や上田文雄・札幌市長ら約400人が賛同しているという。
植村隆氏の応援団は、植村氏の根源的な間違いについては目をつぶり、加害者である植村氏を被害者に仕立てています。「言論の自由へのテロ」、「思想の自由を侵害するものだ」などと述べているのが特徴です。
朝日新聞の「慰安婦」捏造記事を根拠に、自説を声高に述べてきた方ばかりです。植村氏を守るとみせかけて、実は自分自身を守ろうとしているのではないでしょうか。
しかも、今回の植村氏の問題で、また反日の人たちの名前が表にでてきました。
ところで、「被害者」の植村氏に対する脅迫事件は、実際に起こったのでしょうか。刑事告訴すると息巻いていた方もおられましたが、犯人も見つからないのに刑事告訴できるのでしょうか?
朝日新聞の社風は、自らが加害者でありながらいつの間にか被害者の立場になって責任を転嫁する傾向が甚だ強いものがあります。
かつての大東亜戦争時も、国民を戦争へと煽ったにも関わらず、戦後は戦争責任を昭和天皇と軍部に押し付けて、反省の弁もなく、自分は平和を愛好しているという姿勢をとりました。(「朝日新聞の『戦争責任』」ご参照 )
また、朝日新聞は「沖縄珊瑚礁落書き事件」にみられるように、自作自演の犯罪歴もあります。(「朝日新聞の常套手段 環境問題にして「基地建設反対」に誘導」ご参照 )
今回の脅迫事件の調査を待たずに記者会見を開くなど、不自然な点が多く見られます。
ここで、朝日新聞の内情を詳しくご存知の方にご意見をいただきます。
・「自作自演」や「やらせ」は朝日新聞社の常套手段です。
・「負けるな北星!の会」はにわか作りの会です。
・呼びかけ人の桂敬一氏らは、朝日新聞社の関係者です。
・朝日新聞社は、こんな幼稚な方法で、ねつ造記事を正当化しようと考えています。
・マスコミはいったん守勢に回ったときには、防衛することが出来ず、簡単にほころびが出てくるのです。
・植村氏におかれましては、言い逃れ会見ではなく、堂々と謝罪会見をしていただきたいと思います。
やはり、朝日新聞は地に落ちた存在のようです。
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